自衛隊偵察オートバイ(偵察バイク)ってなに?

偵察オートバイとは自衛隊で使用されている装備品のひとつで、民間の250CCオートバイに自衛隊用の装備を装着した偵察用の軽二輪車の事である。自衛隊の装備車両としては小型の物に分類されている。民間で販売されているオートバイに、自衛隊カラーと特殊装備を装着した状態で運用されている。

偵察オートバイは主に偵察部隊へ配備・使用されているが、普通科連隊や特科連隊の情報部隊などでも偵察・観測用や部隊間連絡用としても使用されている。現在は川崎重工業のカワサキKXL250が自衛隊向けに偵察オートバイとして防衛省に納品されている。ちなみに正式名称は「偵察用オートバイ」という装備品名が付与されており、偵察オートバイに貼り付けられている銘板には、「偵察用オートバイ」と記載されている。この銘板の表記は、自衛隊内での装備分類であるため、メーカーや車種が変わっても「偵察用オートバイ」で統一されている。

形式メーカー採用現状 現車の保管
XL250Sホンダ1975年頃退役売却
XL250Rホンダ1981年頃退役 未確保
XLR250Rホンダ1986年頃一部現行 未確保(複製)
KLX250カワサキ1997年頃現行 確保

現在入手可能な資料でもっとも古い偵察用オートバイは、ホンダのXL250Sとなっている。しかし、自衛隊の古い写真などには稀に謎のオートバイを偵察仕様にした状態で演習に参加している写真を見たことがあるので、1975年以前にも偵察用オートバイが使用されている可能性はある。

調達メーカーは本田技研工業が偵察用オートバイ供給の役割を長い間担ってきたが、1990年代からは川崎重工業にその座を譲っている。ホンダ車からカワサキ車への装備更新が決まった当初には、カワサキ社製オートバイの弱点である「水冷エンジンとその部品点数の多さ」を問題視する事が数多く、

「長時間の単独行動が想定される偵察用オートバイとしては、フィールドメンテナンスが困難な車種では不向きではないか?」

という意見が数多く見られた。しかし、正式採用から既に17年以上の月日が経過した現在に至るまで、カワサキKLX250の水冷システムに起因する不具合などは部隊からは報告されてはいない。故障発生の割合も、ホンダの偵察用オートバイとは大差がないとの話を聞く。むしろ、カワサキ車の利点、つまり、セルスタート機能や取り回し易さなどが隊員のウケが良く、長時間偵察用オートバイを運用する偵察隊員におけるカワサキKLX250の評判はとても高いとの事だった。

ホンダXL250S/XL250R共に既に自衛隊からは退役しており、ホンダXLR250Rも残り僅かの台数が使用(保管?)されているにとどまっていると推測される。ここ数年の防衛省予算の増額で、急速に現行型のカワサキKLX250に配備交換が進んでいるので、旧型のホンダXLR250Rが自衛隊から姿を消すのも時間の問題だ。また、同じカワサキKLX250でも配備初期のカワサキKLX250偵察用オートバイについても、ここ1年で数多く新型のカワサキKLX250に急速に更新されている。

この最近の大規模な装備更新で払い下げられた初期型のカワサキKLX250のうちの一台が、こんちゃねさんが入手する事ができた偵察用オートバイである。

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