自衛隊バイクKLX250 レストアのまとめレポート

2020年3月6日

一般では入手不可能とまで言われ ていた正真正銘の自衛隊払下げ 偵察オートバイKLXの細部までを 徹底解剖したりました!

2013年春に偶然に入手できた自衛隊バイクKLX250。いつものようにヤフオクで自衛隊キーワードで検索していると、「KLX」の文字が目に飛び込んでくる。紛れも無く、あの自衛隊バイクKLXが売りに出されている!しかし、この時、不幸にも私自身はバンコクへ出張中であり、出品の期限も既に24時間を切っている・・・。

早速こんちゃねさんオフィスへ連絡をして、購入の稟議をもらおうとするが運悪く勘定方と連絡がとれない。焦る私は、友人に代理入札で購入してもら為に連絡をとってみるが、これも金銭の都合が上手く段取りできない。右往左往している内にオークションの時間の締め切りは迫ってくる。出張中に用意できる個人資金にも限界があり、十分な入札金額を入札で提示できずに落札する事ができなかった。いままでこれほどに海外出張が恨めしいと思った事はない。その夜は、バンコクのホテルで一人悔し泣きで枕を濡らした。

しかし、仏様は私を見捨ててはいなかったのだ。なんと、2ヶ月後にまた自衛隊バイクKLX250が出品されるというチャンスにめぐりあう事ができた。今回も前回と同様にバンコク出張中ではあったが、2ヶ月前の苦渋を2度と味合わない為に、銀行決済などのツールをすべてバンコクオフィスへ持ち込んで、いつでも購入可能な状態を構築しておいたのである。

こんな非日常な環境で入手までに至った自衛隊バイクのKLX250だが、自衛隊払下げ品でここまで程度のよいものは見たことがない!というぐらいの良いコンディションで入手する事ができた。さすがにそのままでは走行できない状態にまでには破壊処理してある・・・この自衛隊バイクKLX250を公道で走れるまでにレストア作業の過程をご紹介していたのがこちらのブログなのだが、今回はそのまとめとしてブログで書いていない予算についてや、完成した自衛隊バイクKLX250の細部紹介などをレポートする。

スムーズに進んだ自衛隊バイクKLX250のレストア

レストアの作業内容については、その都度更新していたブログのアーカイブで確認してもらう方が良いだろう。レストア準備から作業開始までは、自衛隊仕様偵察オートバイXLR250Rの組み立て作業時に購入していたものがあったを利用したので、非常にスムーズにレストアを開始する事ができた。長い間倉庫を専有していたこれらのレストアの為の機材だが、ここで再び陽の目を見ることになった訳だ。

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今回の偵察オートバイKLX250レストアの最大のヤマ場となったのは、フレームの修正と配線再生。フレームは個人の技術では再生不可能なのでフレーム工場へ外注。問題は自衛隊用に製作されていると思われる特殊配線の再生作業である・・・民間のサービスマニュアルを入手してから実物の配線とを見比べてみたが、図面と実物がまったく異なっていて途方にくれてしまった。この配線関係の作業を完了するまでには約3週間は時間が必要になった。ちなみに、この配線図については、作業をしながら作成した配線図(前方部)をこの記事の最後でダウンロードできるようにリンクを設置してあるので、(ごく少数だとは思うが)これからレストアする方はこの配線図がなにかの手助けやヒントにしてほしい。

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レストアのタイムスケジュールは、偵察オーバイKLX250の引取が2013年5月9日、車体分解作業が2013年5月22日、フレーム修正完了とレストア開始が2013年7月13日、そして一応のレストア完了が2013年9月26日となった。偵察オートバイKLX250を引き取ってからは、偵察オートバイ細部のチェックや撮影などで約2ヶ月、レストア開始から完了まで約2ヶ月の合計4ヶ月の作業工程だった。このレストア作業の間、私自信が数回に分けて6週間程バンコクへの出張が入っているので、前回レストアした自衛隊仕様偵察オートバイXLR250Rよりもかなり早いペースで仕上げた事になる。

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レストア作業の開始してからも、メーター類など一部の部品調達で大きく手間取っている。これらの部品について効率よく準備と調達ができていればもう少し短い時間で完成まで持っていけたかもしれない。ま、早いから良いというものではないが、モチベーションの維持を考えれば早い事に越したことない。

レストア作業で使用した予算

今回のレストア作業は、前回の自衛隊仕様偵察オートバイXLR250Rのレストア時に調達した工具や機材を利用したので、新規の購入工具代はほとんどといっていいほど必要なかった。紛失していたものやサビ付いて可動しないものの代替品購入に留まった。

 

(1)工具等の設備備品

品    名 価格 備考
簡易ショックドライバーセット 3,200円
メーカー品プラスドライバー 1,890円 精密な大型ドライバー
メーカー品マイナスドライバー 1,890円 精密な大型ドライバー
180Picレンチセット 6,980円 スティール製箱付き
半田ごてセット 3,980円
電気工事用ペンチ 1,980円
作業用拡大鏡 2,300円
エアコンプレッサーの掃除用ノズル 1,100円
エアコンプレッサー用の蛇腹ホース 1,580円
LEDヘッドランプ 3,800円 作業時の手元照明用に購入
 備品合計  28,700円

 

(2)オートバイ補修用パーツ

品    名 価格 備考
KLX250バイクフレーム(中古) 5,500円 書類付きフレーム
民間用メインハーネス(中古) 2,800円 前部分だけ使用
左右のハンドルスイッチ(中古) 5,300円 配線が溶断されていたので交換
クラッチケーブル(中古) 1,980円 車台番号付近で切断されていた
メーターケーブル(中古) 2,500円 車台番号付近で切断されていた
アクセルケーブル(中古) 1,580円 車台番号付近で切断されていた
左右ミラー(中古) 1,980円
ナックルガード(新品) 3,800円 自衛隊用パーツ
メーターアッセンブリー(新品) 36,700円 ebay.comで購入。外装のみ使用
バイク用バッテリー(新品) 2,480円 格安バッテリーサイトで購入
バイク用チェーン(新品) 6,890円
各種電球(合計8球) 1,400円
ネジ類やピンなどの消耗品 1,060円
 パーツ合計  73,970円

 

(3)作業外注の費用

品    名 価格 備考
フレーム修正 59,000円
バイクの公道走行の最終チェック 5,000円 整備士による最終チェック
外注合計  64,000円

 

車体以外に使用した備品、パーツ、外注の合計は、166,670円となった。これにオイルやクーラントを初め、自賠責や登録費用を入れると約40万円となる。このリストで注目したいのは、(2)の補修用パーツの項目だ。パーツ類はメーターアッセンブリーがとても高額だったが、その他の必要なパーツ類は購入点数が非常に少なく、コストも安く調達できた。レストア作業に必要な補修パーツ購入量の少なさは、ベースである偵察オートバイKLX250の破壊状態の少なさ、つまりはオリジナル度合いの高さを表している。

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車体パーツについては、外装はもちろん、ネジまでもできるだけ分解したものを再利用する方針で作業を続けた。車台番号部分の溶断作業の際に完全に破壊されて再利用が困難であるネジ類、ケーブル類の一部、そしてスピードメーター(外装のみ交換)や使い捨ての留め具などのパーツは新しいものを購入して使用している。これら以外の主なパーツはすべて放出された時のものを丁寧に分解し、クリーニングを施した上で再利用している。

完成した「本物」の偵察用オートバイKLX250

今回の偵察用オートバイKLX250はできるだけオリジナル状態で再生したかったので、パーツは可能な限り再利用で塗装も可能な限りそのままの状態でレストア作業を進めた。公道を安全に走行できる状態で、一般ナンバーを取得した状態の民間登録済みの自衛隊偵察用オートバイKLX250は、そうそう存在しないのでないだろうか?という程オリジナルの状態に近いものになっている。その完成した勇姿をたっぷりとご覧頂きたい。

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これが、余計な修正をギリギリまでしないで、公道を走る為の十分な保安基準を満たした、自衛隊以外で現存する偵察用オートバイKLX250の勇姿である。ちなみに運用部隊で貼られていたと思われるシールやバンド類なども、できるかぎり元に戻してある。また、はじめから塗料が剥げていたり、走行に支障のない箇所の破損はそのままにしておいた。これは普通のバイク屋さんにはポリシー的に真似の出来ない、マニアの為の「不完全な完全レストア」と言えるだろう。

偵察用オートバイKLX250の外見的な特徴

偵察用オートバイKLX250には数多くの「軍用」を感じさせる部分がある。特に「軍用」を感じさせる部分についてピックアップしてみた。つまりは、これらの民間のKLXに装着することができれば、瞬く間に「偵察用オートバイ」に成りうる程に、特徴的な部分をピックアップしてみた。民間KLXをライトな偵察風に仕上げたい場合は、これらのパーツを参考にしてもらうと比較的簡単に「偵察風」にできるかもしれない。

①タコメーターとスピードメータが一体となったメーター部分

今回の偵察用オートバイKLX250レストアの中で一番調達が難しかったパーツが、この「メーターアッセンブリー」だった。今回は結局ebay.comでKLX650用のメーターを購入して、溶断のダメージがない内部を利用してメーターアッセンブリーを再生した。ちなみにこの部品番号は(25001-1920):Meter-ASSY MPHとなっている。国内ではアッセンブリーではなく、それぞれ個別の部品番号でオーダーする事で入手可能なようだが、価格は6万から7万円と、かなりの高額になってしまう。

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②これぞ偵察用オートバイ!頑丈なガード類

偵察用オートバイを偵察用オートバイたらしめる基本のパーツ群。金属加工の技術があれば、簡単にレプリカなどを制作できそうな感じに簡単な作りになっている。

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③B.Oライトとメインスイッチ

灯火管制ライトは、小さなアイテムだが偵察用オートバイのパーツとしては無視できない存在感がある。また、メインスイッチにしても同様で、民間KLXには付属していない箇所なので、これもまた特徴的な部分である。このメインスイッチは民間のサービスマニュアルには情報が一切ない。どのように電流が流れるかは、レストアがある程度進むまでは本当に不明な部分で作業が困難だった箇所の一つだ。このメインスイッチのポジションについてはこちらに詳しく調べた結果を載せてあるので参考にしてもらいたい。

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④軍用の雰囲気を醸し出すブラックエンジン

民間KLXでもブラックカラーのエンジンは発売されているが、このマットブラックはいかにも「軍用」といつた存在感がある。このマットブラックと、車体のオリーブグリーンとで、「軍用車両」としてのカラーリングを完成させている。個人的には、新しいピカピカの塗装よりも古ぼけて塗膜がくすんだカラーリングの方がリアル感があって大好きである。

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ガード類や灯火管制関連の特殊パーツ以外は、品番やカラーリングも含めて殆どが民生品のパーツが流用されている。シュラウドやフェンダーなどのプラパーツも自衛隊専用の部品番号が割り当てられているようではあるが、塗膜を剥がしてみると実はあのカワサキ特有の明るいグリーンだった。

民間車種がベースなのだから当然なのであるが、これらの少数の特殊パーツとカラーリングが、偵察オートバイを偵察オートバイとたらしめていたのである。

最近の自衛隊バイクの入手事情

こんちゃねさんのブログやレポートを読んで頂いている方には周知の事実ではあるが、偵察オートバイの所有やレストアはコストパフォーマンスがすこぶる悪い。今回のレストアだって車体本体とその他費用で40万円近いコストがかかっている。これは新品同様の民間KLXが購入できる価格だ。しかし、そこは偵察オートバイという特殊性に、高いコストと時間を浪費するのだ。

決してオートバイの性能やバイクとしての価値ではない。偵察用オートバイKLXとしての価値なのである。

ふと考えてみれば、もし私自身が民間KLXを4万円で購入するかと言えば、ほぼ確信して購入する事はない。しかし、溶断された動くか動かないかわからないような、使い古した偵察オートバイKLXには20万円を支払って購入する・・・これがバカマニアと言わずしてなんと言おう。

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本題から逸れてしまったが、これから偵察オートバイを購入したいとお考えのマニアな方々にはこれから暫くは入手し易い時期が続くだろう。これまでは入手する事が困難だった払下げの偵察オートバイだが、ヤフオクでは頻繁に売りに出される事が多くなってきた。

実際このレポートを書いている時にも、払下げの偵察オートバイXLR250Rが売りに出されている。払下げ偵察オートバイの流通量は今まで以上に増えてきており、今回このレポートで紹介した偵察オートバイKLX250よりも破壊処理の少ない偵察オートバイもチラホラ出始めている。

我々マニアにとってはまさに「我が世の春」状態ではあるが、私自身はこの「いいものが入手できる状況」はいつまでも続かないと考えている。

1/1偵察オートバイコレクションのコンプリート

こんちゃねオフィスには払い下げられた「偵察オートバイXL250s」と、入手できないが故に自作した「自衛隊仕様偵察オートバイXLR250R」、そして今回レストアした実物の「偵察オートバイKLX250」 と3車種揃った。ただ私が欲しいから!という気楽な気持でスタートこの企画だが、ここまで偵察オートバイが揃うとは正直思ってもみなかった。まあ、 XLR250Rのについては、民間XLRに自衛隊の特殊装備を取り付けただけの「モドキ」ではあるが、そこはご愛嬌として頂きたい。

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現行で採用されている偵察オートバイKLX250を入手した以上、この1/1偵察オートバイコレクションはここがゴールという事になる(厳密には新型のKLXが配備されてはいるようだが・・・)。あとは、陸自仕様であるXLRを実物に・・・とか、新73式を・・・とか、こんちゃねさんオフィスの勘定方を悩ます企画になるかもしれないが、新しい野望をスタートさせたいと妄想中である。

最後にこの偵察オートバイKLX250にあたって各方面の方々には多大なアドバイスやご協力を頂いた。この場を借りて重ねてお礼を申し上げたい。

お付き合いしてくれてありがと(・∀・)

 


レポート修正履歴

2013(平成25年)12月23日(月曜日)  公開開始
2020(令和2年)3月6日(金曜日) 修正



陸上自衛隊 偵察用オートバイKLX250のデーター

本車両データー
形   式 KLX250(LP250A-)
製   造 川崎重工業 株式会社
全   長 2135mm
全   幅 885mm
全   高 1210mm
重   量 約117kg + 装備パーツ
最高速度 135km
乗   員 1名
発売日 不明
撮影日 2013年5月9日~2013年12月23日
購入店 防衛省自衛隊払下げ
実売価格 製造価格 約400,000円(工具一式等含む)
おすすめ度
まったくお勧めできません( ・∀・)

自衛隊バイクKLX250の関連リンク

Norick’s World (偵察オートバイXLR250Rの日記があります。)

the 世界のレーション保管庫にようこそ(ページの最後の方にXLR250RとKLX250のレストア日記があります。)

偵察用オートバイ(ウィキペディア)

 

自衛隊バイクKLX250の関連ダウンロードファイル

偵察オートバイKLX250のレストアで使用した関係ファイルをダウンロードできます。

 

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 JSDF Kawasaki KLX250のまとめ  HONDA XLR250R (自作)のまとめ  JSDF HONDA XL250Sのまとめ

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